仮病に口止め料


キスをされるのが嫌なのかと怖じけづくより先に、(ちょっと自分の察しの良さが憎いも)俺ってば気付いてしまった。


「うわ、? 熱――!、?」


手の平から伝わる尋常ではない汗と体温に皮膚が驚いてしまう。

まさかあのなまっちょろいキスでの変化であるまい。


これはきっともしかすると……と、難易度が低い推理を始めようとしたら、

彼女に「あはは、そう、熱。平気。微熱」と、

トリックを解く前に風邪を引いているのだと種明かしをされた。


芽が出たジェスチャーみたいに両手をホッペにあてて、呑気な姫君はふわりと笑っているが、

微熱でここまで茹だるようなからだをしていないだろうから、赤子を持つ母親ばりに俺は心配になってしまう。