「も、……わ、――……」
息なのかお喋りなのか、あるいは彼氏を鎮静化させるまじないの言葉か、何かよく分からない音符を彼女が零せば、
俺にとって埃が溜まっている廃れたここは天国に思えなくもなかった。
そしてまた、この子を幸せにすることができるのも逆に壊してしまうことができるのも自分しかいないし、
(なんて自己中心的な考えなのやらと呆れてはならぬ、これは十代しか体感できない恋のマジックだ!)、
逆にこんなちっぽけな自分なんかをちゃんと愛してくれるのは彼女しか居ないと、
(家族や友達など日ごろの絆を忘れている浅はかさに失笑してはならぬ、これはピュアな学生が浸れる恋ポエムだ!)、
心一杯、本当に感動した。
ほら、この可愛らしい発想こそ(大人が痛いと嘲笑う)学生ラブストーリーの強みだと主張しても、虚言癖にはならない。



