仮病に口止め料


お城に居るのは可憐な乙女に夢中の(馬鹿な)彼氏と、雑魚キャラに好かれ幸せがる(脳天気な)彼女の二人だけで、

いずれ夢をぶち壊すラスボスが現れるはずだ。


好きだった。
顎の向きを変えて何度も重ねるキスのしつこさにどれだけ好かれているか伝わればいいと、

(野心を都合良くまとめた)ロマンチックなことを思いながら酔う今は幸せでしかない。


そういえば、買い出しに行く前お姉さんに飲み物は冷蔵庫にあるからと言われていたのに、

すっかりキスに溺れて忘れていたことを思い出し、

彼女だって喉が渇いたと主張していたではないかと先に言い訳を考えてから、

俺は恋人が溢れさせた命の水を送り込んでみた。


命の水、それはなんか多数のお伽話で(帳尻合わせに)奇跡が起きるため、

主役(または敵)を甦らせることができるマルチな液体だ。

時価がいくらか不明だが、百億万円あたりが妥当だろう。