仮病に口止め料


可愛い人が大好きだから、俺は媚びを売ってアプローチをして機嫌をとりたい。

だから、切り札はこの唇が奏でる雑音となる所以だ。

無料で喜んでもらえるなら幸せだから、ボキャブラリを増やすし間を計算するし言い回しにバリエーションを準備して、

自分が話す内容に爆笑してもらえるよう日々努力をしている。

この向上心こそ、愛情だと説いてもあながち間違いにはならないはずだ。


「小話その弐ね、えっと、可愛いって何が可愛いってそりゃホイッスルのピーって音だろ、あれ可愛いわ。小鳥のさえずり並にカワイイと――」


昼間の出来事を取り繕うように俺がお喋りを始めるやいなや、

彼女に「キス」と、同じ単語でしつこく一言遮られた。


となれば答えは一つ、そこまで嫌だったのだろうか?