仮病に口止め料


紙袋を乱暴に丸めたような乾燥した彼女の咳が耳にこびりつき、

朝にはなかった症状から重さを確かに痛感し、早く病院の午後診療になれと祈ってみたくなる。


ああ、俺はやっぱり田上結衣には元気であってほしい。

今後いかなる時も辛そうな顔は見たくないし、当然永遠に笑っている顔が好きだ。

付き合って半年。
風邪に意地悪をされている彼女がいつものようにツッコミを入れたりボケたりして、

俺のつまらない話を面白いとばかりに乗っかって盛り上げてくれないため、今日はこんなにも寂しい。


同級生にならいしっとり愛を唱える時間もいつかの未来に持ちたいけれど、

今の俺はやっぱりたくさん滑り倒すお喋りをしてどうでもいいことに爆笑をしていたい。

それに価値があると固執する自分に惚れてもらえるなら満足だ。