仮病に口止め料


スリッパに羽が生えたら足音は気にならない、髪の毛の隙間に空気が含まれて愛に比例し持ち上がる。


病人が居る部屋はどうして熱が目に見えるのか、吹きこぼした鍋の感じにそっくりだ。

彼女はベッドに寝転がったまま目線だけ起こしていた。


学校に居た時よりもからだが重たそうで可哀相でしんどそうで、

よく母親が言う『私が代わってあげたい』という心境に俺は(他人でありながら)共感していた。


そして気づいたことがある。
例えば、彼女が笑っていたなら、俺はもっと笑いたい。

そうしたら俺の笑顔に弱い彼女は更に笑ってくるから、それが好物な俺はより被せて笑って……ループする。

これはきっと誰も欲しがらない馬鹿馬鹿しい幸せの作り方だ。