仮病に口止め料


時計の針は六時間目の授業中にチャイムが鳴れと念力を送りたがりたくなる頃だ。

南に向いた窓、カーテンを閉じたがる女子、黒板の塗り替えを始める先生、携帯電話を膝上に広げたがる男子、

きっとF組は和気あいあい数学の問題の解答をたらい回しにしているのだろう。


お姉さんとの会話が空になったお弁当にどんどん詰め込まれていた。

二段が一段に早変わりする収納上手なそれは、今度は彼女が預かる番。

この青春臭さをかぎ分ける技では俺が世界一だと思われる。


「おねーちゃーん」

砂時計が一秒を零す時に似た弱々しい声が届くやするやいなや、

違う立場でこのお城に住む姫君を護りたい俺たちは合図なしに鳥籠へと急ぐ。