仮病に口止め料



「まって、と、あの! いったん俺出ます」

必死で叫べば、案の定推理は当たる訳で、「あ、ごめんごめん、お客様、ゴメン、とりあえずリビング居て?」と、

お姉さんは凄く嬉しそうに声を弾ませる。


唇を引き伸ばしにっこり微笑む存在は(恋に夢中な男子レベルだと対処法が思いつかないため)少し苦手だから、

俺は勢いよく変に着崩れたお姫様に背を向けた。

それだって身内による嫌がらせなのだから、いちいち反応するだけ格好悪いのに駄目だった。


リビングにと言われたが、彼女の部屋から出てすぐの廊下に突っ立ったまま、

邪念を払うことに俺は必死だったので、愛しの美少女に熱視線を送られていたことには気づけなかった。