女の人と女の子、言葉の区別はフェロモンの有無だろう。
「とりあえず結衣寝かせとこっか」は、口調の割にお客様への提案というよりは独断の決定事項で、
「結衣は寝る、起きたらなんか食べて薬。分かった?」は、同様に異論を認めない妹への強制だ。
ベッドの上に腰掛けているお姉さんが病院は夕方に行こうと言い、俺に向かって妹は頑丈だから心配ないと笑う。
いつもなら文句を垂れる彼女は大人しいままで、お姉さんがホッペを突くと白い肌が沈んだ。
気を抜いている人と様子を見ている人、(何も背景を知らない分際の癖に)仲良しな姉妹に見え、なんだか俺は心の奥が満たされた気がした。
看病される側は辛いのに気を遣うため休まらないだろうし、また親しくないと見られたくない姿が気まずいだろうから嫌だと思い、
「じゃあ俺帰ります。お大事に。」と、親切心がある洋平サンらしく家に帰ろうとドアへと向かった時に、
部屋の隅に溜まった空気たちは、回る扇風機効果で半音下がった風に思えた。



