隣のお兄ちゃん



「葵?!どうして…?」


裕くんの手を掴んだまま、咄嗟に裕くんの胸に飛び込んた。


胸が張り裂けそうになるくらい、ドキドキした。


気付けば、自分でも驚くくらい大胆なことをしていた。



昔はいつも裕くんと肩を並べていたのに。


中学生になった途端、急に身長が伸びた裕くんを、あたしは見上げるほどになってしまった。


童顔で色白の裕くんが声変わりしたとき、ちょっとドキッとした。


裕くんがあまりにも低い声になってしまったから。


でも、あたしはこの声も好き。


その低い声で「葵」と呼ぶ心地よい響きが。 

堪らなく、好き。