隣のお兄ちゃん



久しぶりに触れた裕くんの大きな掌が、すごく温かくて――  


もっと……って、思ってしまった。 


幼い頃からあたしの頭に手を当てて「葵は可愛いな。よしよし」っていつも言ってくれた裕くん。


雪がちらつきそうな寒い朝、あたしの小さな手を握り、そっと温めてくれた裕くん。

「こうしたら二人とも温かいよね」

手袋を片方ずつ嵌めて、握られた手がとても温かかった。


もみじのような小さな手だったのに。


あれから数年で、こんなにも大きく頼もしくなった裕くん。



小さな裕くんも。今の裕くんも。

やっぱり、好き。

大好き。



私の頭から裕くんの掌が離れるのと同時に、あたしはその手を掴んでいた――。