隣のお兄ちゃん



「えっ?えーと、そのー、何て言うか……」


「もう、いいじゃん!俺のことは気にしなくていいからさ!誰かってことぐらい教えてくれよ。なんなら協力してやってもいいよ」


「協力って、そんな……」


今すぐに“裕くんだよ”って言いたいんだけど。


なかなか言葉にならなくて――。


そんなあたしを、「困らせちゃってごめんな」って、裕くんの大きな掌があたしの頭を撫でたの。 


困らせてなんかない。

いつも裕くんのあとを追いかけて困らせてきたのはあたしだ。


だって、ずっと好きだったんだもん。


優しくて、あたしだけのヒーロー。