隣のお兄ちゃん


「葵っ!なんで、おまえが泣いてるんだよ。俺、そんなにひどいこと言ったか?」


「ううん。裕くんは何も悪くないよ。あたしが勝手に泣いてるだけだから気にしないで」


「気にしないで、って。そんなわけいかないだろ?」


「いいの。もう放っておいて」


あたしは裕くんに背中を向けた。 


「放っておけるわけないだろ?じゃあ、なんで…?」


裕くん、あんまり優しくしないで。


その優しさが余計に苦しいよ。


あたしは迷わず門に手をかけた。


「葵、ちょっと聞いて!
俺さぁ、受験に合格したら告白するつもりだって、この前言ったよな?」


ーー!!


門に手をかけたまま、あたしは立ち竦んだ。