学校から家まで歩いて15分。


その途中にあたしが通った幼稚園や小学校がある。


園庭では、園児たちが小さなお山に登ったり、遊具で遊んでいる姿がフェンス越しに見える。


みんな小さくて可愛い。


あの頃って、無邪気だし、自分の気持ちの赴くままに過ごすことができた。


「裕くん、遊ぼう!」「裕くん、裕くん」って、いつも呼んでいた。


でも、だんだんと自分の気持ちを隠すようになって。

たった6年前のことなのに。

いつからこんな風になっちゃったんだろう。


いつもより時間をかけて家へ帰ると、


「あっ」


家の前まで来たら、ちょうど裕くんが玄関に入るところだった。


声を掛けようか迷っていたら、振り向きざまに裕くんが私に気付いてくれた。 


「よっ!葵、チョコ、渡せたか?」


「あっ、いや〜ダメだった。渡せなかったよ」