隣のお兄ちゃん



「そうなんだ。葵ちゃんからのチョコ、楽しみにしてる奴もいると思うよ」


「えっ、まさか…」


「いや、ホント!葵ちゃんも自分の気持ちに素直にね~ってことで、またね!」


とだけ言い残して、勇太先輩は賑やかな教室に戻ってしまった。


自分の気持ちに素直に……?

勇太先輩は何が言いたかったんだろう。


残された私と由美は、二人で顔を見合せた。   


「ねぇ、今のってさ……」


由美が何か言ってるけど、全然頭に入らなかった。


まさか、ね。そんなわけないよね。


そそくさと階段を下りて、あたしたちは1年の教室へ向かった。