隣のお兄ちゃん



「な〜に?葵ちゃん!俺に用事って?もしかして、チョコくれるとか?」


おどけながら勇太先輩が言うからあたしは慌てた。


誤解されたら困るから。


勇太先輩にも。もちろん、裕くんにも。


「いえ、えーっと、あたしじゃなくて……」


「勇太先輩、これ受け取って下さい!」


いつもは元気な由美が、顔を赤らめながら先輩にチョコを差し出した。


“頑張れ、由美!“あたしは心の中で手を合わせた。