隣のお兄ちゃん



勇太先輩を待ってる間も、そこを通る先輩たちの視線が痛くて……。


特に、女の先輩の鋭い視線が怖かった。
 

“何の用事?”

“誰を待ってるの?”


ヒソヒソと話す声に先輩たちの鋭い視線が重なり、そこだけが重苦しい雰囲気が漂っていた。


できることなら、早くここから立ち去りたかった。


やっぱ、3年の教室まで来たのはチャレンジャーだったかな。 


今更ながら、少しだけ後悔の気持ちが襲ってきた。


ーーと、
「お待たせ〜」と、いつもの明るい笑顔で勇太先輩がやってきた。


この人は天性の明るさを持っていると思う。

その場を和ませる明るさ。

思わず、あたしもニコッと微笑み返した。