そして―― 


ドキドキのバレンタイン当日がやってきた。 


みんな朝からそわそわしていた。


男の子も。女の子も。 


一応、校則で、お菓子を持ってくるのは禁止だからチョコもいけないことになっている。


でも、この日ばかりは先生たちも黙認していた。  


中には、本命で先生にあげる子もいた。


その気持ちを知ってか知らずか、その先生は「サンキュー」と軽く受け取り、職員室でパクっと食べていた。


まだ20代の体育の先生。


先生の机にはどっさりチョコレートが置かれていた。