通学カバンを右手に持ち替えたあたしは、徐ろに視線を落とした。


すぐ近くに見えるのは、裕くんの白いスニーカー。


ちょっと前までは、あまり変わらなかったのに。


いつの間にか、靴のサイズもだいぶ違っている。


背だって、見上げるくらい高い。


ずっと裕くんの方が大きかったけど、こんなにも違っていなかった。


「なぁ、葵!おまえさぁ、好きな奴とかいないの?」


「…えっ?」


裕くんの口から、思ってもみないことを言われたから。


あたしは動揺して、カバンを落としそうになった。