「もうすぐ、咲きそうだな・・・」


「え?何が?」


「桜のことだよ!最近、日に日に暖かくなってきたしな・・・」


私は、今にも咲き出しそうな桜の木を見ながら、そう言った。




「そうだね。美咲ちゃん、花、好きなの?」




私は、少し考えた。
好きな花なんて無いし・・・だからと言って、嫌いではないし・・・



「うん・・・好きか嫌いかわからないが、咲いていたら綺麗だと思うし・・多分、好きなんじゃないか?」


「多分って・・・」



改めて視線を碓氷から桜の木に移し、「いつ咲くんだろう?」と思いながら見ていたら・・・



「ねぇ、鮎沢」



「な、何だ?」



私は、視線を再び桜の木から碓氷に移した。



「もう少ししたら、桜も満開に咲くよね?」



「そうだな。満開になったら、綺麗だろな・・・」




私は、相槌を打ちながら話を聞いていた。


満開の桜は綺麗だ。
しかし、春の一時期しか見れない。それに、綺麗なのにすぐに散ってしまう。

短期間しか見られない・・・そんな桜を碓氷と見られたらいいのに・・・