王子様の溺愛カメラマン

映画館で映画を見るなんていつぶりだっつーの。


ようやく座席番号を見つけると、そこはまさに恋人のために作られたような席だった。


二人がけの大きめのシートには区切りがなく


他のカップルシートに座っている恋人はさっそくイチャイチャしている。




「……」


「私は気にしないよ?」


立ち尽くす俺にエマは気を使って席に座った。


「ごめん。あいつらも多分悪気は…」


「あはは。ミキも同じようによく私をおちょくるから」


笑うエマに俺の心もいくらか癒された。


俺はエマの隣に座った。






「てか日向くんつまんないでしょ?」


「え?」


真横に座るエマの言葉に俺はドキッとした。


「や、そんなことね~けど」


とか言いつつ…

正直なとこ半分図星だった。