王子様の溺愛カメラマン

校門を出たところで亮太が言った。


「てかこのまま帰るのもつまんね~しどっか遊びに行かね?」


「あ!私、みたい映画あるんだけど~」


他校のアウェイな雰囲気から解放されたのか真由美もはしゃぎだした。



「別に俺はいいけど。エマは?」


「うん。大丈夫だよ~」


俺の隣を歩くエマもニコッと頷いた。


亮太たちが『一目惚れ』なんて言ったせいで…


ちょっとエマの顔を見るのが照れくさい気がした。








映画館まで来ると真由美と亮太がチケットを買いに行った。


その間、俺とエマはポップコーンと飲み物を買いに並んだ。


「なんかさっきから日向くん無口だね」


「え?そうか?」


「うん。具合悪い?」


頷くエマに俺は頭をかいた。






というか…

普段こうやって遊び慣れていないから、なんというか体が運動不足みたいにムズムズする。



映画館だって…

いかにもアミューズメントな空間が俺にはなんだかなじまなくて。


地に足がつかない感じがした。