王子様の溺愛カメラマン

しばらく歩いて冬島は足を止めて俺たちを見た。


「ここがエマちゃんの通う校舎だよ」


「わざわざありがとうございました」


「いや、こちらこそ話が出来て楽しかったよ」


ニッコリ微笑む冬島。




「あぁ、そうだ。近々に音楽科主催のパーティーがあるんだけれど」


冬島は思い出したように胸元からチケットを取り出した。


「僕も演奏するんだ。良かったら来てくれないか?」


「え?俺に?」


俺は目をぱちくりさせた。


たった一回会っただけの俺に、ここまで良くしてくれるとは…。


親切を越えて、ちょっと意味が分からなかった。