王子様の溺愛カメラマン

敷地内は茶色い制服の学生ばかりで、俺たちの紺色の制服はやたら浮いていた。



「真由美のスカートが超短くみえるな~」


からかう亮太に真由美は頬を膨らましている。






「そこが僕の通う音楽科の校舎だよ」


俺たちを案内しながら冬島はにこやかに微笑んだ。


「へぇ?冬島さん音楽科なんすか」


「あぁ、僕の家は音楽一家でね。母はヴァイオリン、父は指揮者なんだ」


「そりゃスゴいっすね」


「ふふ、僕もピアノを専攻しているんだけども…」


それから冬島は長い話を始めた。


亮太と真由美は最初こそふんふんと聞いていたが、すぐにゲンナリした表情になった。


冬島の話は確かにちょっと自慢くさかった。


しかも内容もあんまわかんねー…


だけど俺はこの人の話はそんなに嫌じゃなかった。


というか、ショパンや何やと熱く語る冬島にちょっと同じ匂いを感じた。