王子様の溺愛カメラマン

「冬島さんは今から帰りっすか?」


「あぁ。そのつもりだったけど僕で良ければ案内しようか?」


「……え?」


思いがけない申し出だった。


「ここは広いからね。エマちゃんのいる校舎の場所、分からないだろう?」


冬島は首をかしげた。


「でも…いいんすか?」


「もちろんだよ」


ふふふと微笑むと、冬島は近くに停めてあった白いベンツの運転手を呼んだ。


「今からこの人達を案内してくるから」


「はい、かしこまりました」


ってか…

外車にお抱えの運転手ってコイツもどんだけ金持ちなんだよ!


そのやり取りに若干圧倒されつつ


「じゃあ行こうか」


俺たちは冬島の案内で敷地内に足を踏み入れた。