帰り道






「いや~!スゲーの撮れた!」



さっきから日向くんはそればっかり言っている。


私がむくれているのも気付かずに。


子どもみたいに(というか子供なんだけど)興奮してる日向くんをよそに私はなんだか悶々としてた。


もしかして私…


懐中電灯係りのために起こされたのかな?


日向くんとは毎年キャンプに来る仲だけど、学校も違うし親しい友達って訳でもない。


ちょっと図々しいんじゃないかな?


その時、日向くんがクルリと振り向いた。


「お前にも絶対見せてやりたかったんだよな」


「え…?」


「感動しただろ?あんなん滅多に生で見れないよ」


月明かりに照されてニッコリ笑う日向くんに私は目をパチパチさせた。


「わ、私に?なんで?」


「へ?だってエマが夕方に見たいって言ってたんじゃん」


「………」


キョトンとする日向くんに私は記憶を巻き戻した。



確かに私…見れなくてガッカリって言ってたけど。


そんなことを気に止めてくれてたの?


私はビックリした。