王子様の溺愛カメラマン

「君のために演奏するよ」


「……」


「そこで君はきっと僕を好きになる」


冬島先輩は爽やかにウィンクすると去って行った。








冬島先輩…


漫画みたいなセリフも全然胸にキュンとこなかった。


ミキはこの先輩をカッコいいと言う。


私は…やっぱりその辺の感覚が鈍いのかな?


冬島先輩が積極的になるほど、逃げたい気持ちが込み上げてくる。


そもそも冬島先輩は紳士だけど強引なところがあるんだ。


夏休みのデートでも、私はやっぱり好きになれないと感じて今日みたいに断ろうとした。


でもその時も冬島先輩はこうやって返事をさせてくれなかったんだ。


はっきり断り切らない私が悪いのかもしれないけど…。