王子様の溺愛カメラマン

「え?違うの?」


「は…はぃ…」


「…………」






ようやく私の状況を察したのか、日向くんは小さく笑った。



「エマってやっぱ可愛い…!」


「え…??」


「俺のキス、そんなに良かった?」


「な……!!」


「スゲー嬉しいな~」



笑う日向くんに私は口をパクパクさせるしか出来ない。






日向くんは私を起こすと砂を払った。



「てか…帰ろっか?」


「え?」


「いくらなんでも外はまずいだろ?」


「……あ…はぃ…」



ごもっともです。






それから私たちは自転車で静かな夜道を走った。




帰りの自転車…

私も日向くんもほとんど無言だった。




ただ、体が熱くて…




自転車の後ろでこっそり日向くんの背中に頬を寄せると


熱くて速い鼓動が聞こえてきた。