しかし


「エマちゃん」


――え?


声の方を見ると冬島先輩が立っていた。


気が付くと私たちは私の家の前まで帰ってきていて


冬島先輩は門の前で私の帰りを待ってくれていたらしい。


「冬島先輩!どうしたんですか?」


「いや、逢えるかな?と思って連絡したんだけどさ」


「え?」


私が慌てて携帯をみると、確かに冬島先輩からのメールが来ていた。


「ごめんなさい、気付かなくて…」


「ううん、構わないさ。僕もいきなりだったから」


そして冬島先輩は日向くんの方をチラッとみた。


その視線に気付いた日向くんは慌てて先輩に弁護し始めた。


「や、俺は全然友だちですよ!な、エマ?」


気を効かせたようにニコっと笑う日向くんに私の胸がズキッと痛んだ。


さらに日向くんは私にも気を使うように小声でこう付け足した。


「なんか邪魔してわりぃ。とりあえず俺は帰るわ!」


「え?」


「モデルの件まじでサンキューな!また連絡する」


笑顔で走り去る日向くんに、私はまるで失恋したような心境になっていた。