『エマを抱きたいです』




だんだんと……

あの日向くんの言葉が幻覚だったように思えてきた。




あれはただの冗談だったの?



冗談なら…

もう、これ以上期待させないで欲しいよ…









「もっとしっかりつかまっとけよ!」


日向くんによって私の腕がグイっと彼の腰に回された。


ふわん…


月明かりに照らされた日向くんからはシャンプーの良い匂いがした。




「よ~し、出発オシンコ~!」



日向くんがペダルを踏むと、むわんと暑い夜風をきって自転車が進みだした。