王子様の溺愛カメラマン

だけどママは穏やかに私を見つめてこう言った。


「ねえ、エマ?
それは日向くんが言った言葉なの?」


「………え?」


「日向くんがエマと離れて平気だって言ったの?」


「…………」




ママと目があうと、ママは小さく微笑んだ。



「ママには…挨拶に来てくれたあの日向くんが、エマをそんな風に考えてるなんて思えないな」


「…………」


「エマもそう思わない?」


「………………でも…」



素直になれない私は唇を噛むと膝の上でキュッと手を握った。


ママはそんな私の手を優しく包み込む。



「日向くんはきっとすごく不器用なんだね」


「ぶ…きよ…う?」



ママは頷く。


「エマのパパもすごく不器用な人だったんだよ」


「…パパが?」


「うん。パパいつもムスッとして無口だから何を考えてるか分かりにくいでしょ?」


「うん…」


「でもパパって本当はすご~く優しいのよ?」




あ…あのパパが?

すご~く優しい??



「う…嘘だぁ?」


泣きはらした目で顔をしかめた私にママは笑った。