王子様の溺愛カメラマン

「…………」


俺はムクッと体を起こすと、エマの横にしゃがみ込んだ。


「エマ…」


「………」


「エマ、頼むから俺の目ぇ見て?」


「………」


エマは膝を抱えたままゆっくりと顔をこちらに向けた。



トクン…

トクン…


濡れた大きな瞳が俺を見つめて俺もエマを見つめ返す。




「俺…余裕なんてないよ?」


俺は指先で静かにエマの頬に触れた。


エマはぴくっと震える。


「エマといると…いつもすげぇドキドキしてる。
今だって心臓マジ、やべぇくらいうるさいし…」



俺…バカだから。


初めて女の子を好きになって、どうして良いかわかんねぇんだよ。



エマの喜びそうな話のネタだってわかんねぇ……



好きな女の子の体だってさ…

どのくらいなら触っても良いのかとかさ。



どのくらい、この気持ちをぶつけて良いのかもわかんねぇんだ。



それでエマが不安だったなんて俺知らなかった。



なんもわかってねぇ俺…

こんなで情けねーわ……