王子様の溺愛カメラマン

「それ、中学ん時にチャリで信州まで走って撮ったんだ」


交通費節約で夏休みに1日がかりでぶっ走り、真っ黒に日焼けしたんだっけ。


「じ、自転車で信州まで行ったの?!日向くんそれスゴすぎだよ!」


「え?別に普通だろ」


誰でもペダルを漕ぎ続けりゃ行けるし。


俺は軽く笑った。


「来年はエマも一緒に行くんだぜ?」


信州かどこかは決めてないけど。


「…え?!」


「チャリと寝袋持参して。スゲー濃い時間過ごせるからさ」


って、エマは女だからさすがに野宿はムリか。



エマはでかい目をさらに大きく真ん丸にした。



「わ…私も行くの?」


「当たり前だろ?エマはこれから俺のモデル兼アシスタントなんだから」


「なにそれ?聞いてないよ~!」


「今決めたんだよ」


「!!」



俺はベッドから机に手を伸ばすと置いてあったカメラを取った。



「大丈夫だよ。俺といたら絶対に楽しいから」


「!///」







――カシャッ



俺はベッドの上から赤くなったエマを撮った。