王子様の溺愛カメラマン

撮影中もエマは緊張しながらも楽しそうにしていた。



――カシャッ

――カシャッ


シャッターを切るたびに近付く距離。


この場合の距離は物理的なもんじゃなくて精神的な意味で。





出来るだけ自然な照明でエマの素顔を追いかけて。




「もっとアホっぽい顔しろよ」


俺が笑うとエマも笑った。




「次は真由美に嫉妬してる時の顔してみて」


俺が挑発するとエマも答えた。





「それ…すげーそそられる」


「エマもっと照れていいよ」






かわいいエマ…


他愛ない会話も、少しエッチな台詞も全てエマを魅せる為。





レンズ越しにエマを見つめて、俺はその心を一枚ずつ裸にしていく。







もっと本来のエマを探せるはず。

もっと引き出せるはず――…







神経が研ぎ澄まされて
ぞくぞくした。


半端なく興奮しながら極限まで集中してる。


張りつめられた細い糸の上でシャッターを切るような…


とにかくこれ以上の快感はなくて。






やっぱり俺にはこれしかないと思えた。