王子様の溺愛カメラマン

―――その時







トントン。


「……え?」





不意に肩を叩かれそちらを見ると冬島先輩が立っていた。


「ふ…冬島先輩…」


黒の燕尾服を綺麗に着こなした冬島先輩は私の前で方膝を下げ手を差し出した。


「僕と踊って頂けませんか」


「…………」




その手を取らないことも出来た。


だけど私のためにそこまでしてくれた冬島先輩。


それを断るほど冷徹にはなれなかった。





私が冬島先輩の手を取ると、先輩はスッと立ち上がり微笑んだ。



「ありがとう」


「いえ……こちらこそありがとうございます」



そして私は冬島先輩にエスコートされダンスホールへ向かった。