「いきなりごめん。ずいぶん友達と盛り上がっていたんだね」


「あ、はい」


「エマちゃんがどんな話題で盛り上がるのか僕も知りたいな」


「………」


下ネタで盛り上がっていましたとは言えず私は曖昧な笑みを返した。


「あの…何のご用件でしょうか?」


「いや、用件は特にないよ」


「え…?」


「舞踏会に向けて今練習をしていたんだけど…なんだかエマちゃんの顔を見たくなってね」


「………」




恋人同士ならともかく…

そんな大胆な事をさらりと言う先輩に私はうつ向いた。


先輩に気持ちを返せないからこそ、言われても申し訳なくて苦しくなる。


中途半端にしちゃいけないと思うから。





「そんなことを言われても…困ります」


「え?」


「私は冬島先輩の気持ちには」


「いいんだよ。僕が勝手に君に会いたかっただけなんだから」


私の言葉を包み込むように、あくまでも答えは言わせてくれない冬島先輩。


冬島先輩ってやっぱり強引だ。