そんな時だった。


「エマちゃん」と呼ばれた声に反応すると教室の入口に冬島先輩が立っていた。




「ちょっと良いかな?」


「え?あ、はい」


私はペンキのついたエプロンを外すと慌てて教室を出た。


一体なんだろう?


廊下に出ると冬島先輩は穏やかな表情で窓枠に肘をついて外を見ていた。


唇の冬島の異名をもつ先輩だけどやっぱりイケメンでそんな姿も絵になる。


細身の長身に知性的で上品な整った顔。


廊下を歩く女の子は冬島先輩をちらちら見ていた。