「…断ったのかよ。…まぁ返事はどうでもいいんだけど、サッカー部の俺以外の1年が賭けてた。」


え?


「賭けてたって…?」


「奏太センパイと梓が付き合うかどうか。」


「奏太くんは関与してたの?」


私がそう聞くと晴は黙りこんだ。


奏太くんに限ってそんなことない。

そう思いたかった。


でも、よく考えたら私は奏太くんのことを実は全然知らなくて。


笑顔が素敵で、かわいいと思えばかっこいいところもあって…優しくて。


浅いところしかわかってなかった。


だから、私には疑う権利も信じる権利もないんだ…。


もっと奏太くんのこと知りたい。


知って堂々と好きって言いたい。


私に自信がなかったのは…それだ。


「直接聞いてみたら?ちょっと気まずいかもしれないけどさ、はっきりさせてこいよ。」


ピーンポーン


家のチャイムが鳴る。


「ベストタイミーング。ほら行ってこい」


「え?」


「窓から見てみろよ。」


晴の言う通り窓の外を見る。


「あ…」


彼が玄関前にいた。


「俺が呼んだんだよ。」


気持ちの整理はついていない。


でも、私は気づけば部屋を飛び出していた。


奏太くんと…話がしたい。