なかなか答えようとしない梓センパイ。


やっぱり答えてはくれないか…。



「そ、そろそろ行かなきゃ。」


梓センパイがベンチから立ち上がった。


「またね、奏太くん。」



このままじゃ梓センパイが行ってしまう。

これから話せなくなるかもしれない。


そんなの…嫌だ!




「ねぇ、梓センパイ。俺、梓センパイのことが好きです。」



俺は告白していた。


今日言うつもりなんてなかった。


でも…言ってしまっていた。


なんてかっこ悪い告白なんだろう。


言うならもっとかっこよく言うつもりだったのに。


勢いというものは恐ろしい。


「私…」


梓センパイの小さな声が聞こえる。


「ごめんなさい…」


そう言って俺の前から姿を消した。


フラレた…んだよな?


確かにごめんなさいって聞こえて…


でもなんだろう、この感じ。


梓センパイが何かを隠しているような気がした。