「そ、そろそろ行かなきゃ。」


どうしても答えが見つからず沈黙に耐えきれなくなった私はベンチから立ち上がった。


「またね、奏太くん。」


早くこの場から逃げたい。


その一心で歩こうとしたそのときだった。


「ねぇ、梓センパイ。俺、梓センパイのことが好きです。」


奏太くんから発された言葉が私の背中越しに聞こえた。



奏太くんが…私を?


「私…」

…も好き。

そう言いそうになった。


でも、脳裏をよぎるのはやっぱりあの会話。


『蓮川センパイには似合わないよね』


私は…ダメなんだ。


「ごめんなさい…」


奏太くんの方を振り返ることなく、中庭から逃げ出した。




なんで私なの?

奏太くんも浅田くんも…。


私なんてこんな体型だし、かわいくもないし…。


2人に告白されて何を言ってるんだ、調子に乗るなって思われるかもしれない。


それくらい自分に自信がなくて、ただただ否定することしかできなかった。