*azusa side*


暑い暑い私の苦手な夏がやって来た。

もう7月。

あと少しで夏休みがこようとしている。


中にいても外にいても、セミの鳴き声が聞こえ、一層暑く感じさせる。



「おはよう」


「あ、おはよう、山崎くん。」


私はこの数ヵ月でクラスの男子と普通に…とまではいかないけど、少しずつ話せてきている。


前はしなかったあいさつも普通にでき、今ではクラスのみんながあいさつしてくれる。



ふと窓の外を見る。

もうすぐチャイムがなるためか、走っている生徒が多く見られる。


私はその中でゆっくりと歩いている人に目がいった。


奏太くん…


いつも元気に走り回っているイメージなだけに、ゆっくりと歩いている姿を見るとギャップを感じる。


サッカー部の練習試合以来、私は奏太くんを避けている。


あの日の女子の会話がどうしても頭から離れない。


私と話していたら、奏太くんに迷惑がかかってしまうんだろうなって。


でも、こんな風に奏太くんの姿を見ていると…話したくなるし笑顔が見たくなる。


はぁ…

朝からため息をつく自分がいた。