「手出してください!」


男の子に言われてとっさに出した私の手には桜の花びらが置かれ、風で飛ばされないように男の子によって私は桜を握る形になった。


「頭でだけどその桜はセンパイが拾ったものですよ!

いいことあるといいですね!」


今日の朝日に負けないくらい、まぶしい笑顔で言う男の子。


この桜…私のなんだ…。


そう思った瞬間、心があったかくなった。


「俺、2年の蓮川奏太(はすかわかなた)って言います♪」


「あ、広野あ…「梓センパイでしょ?」


広野梓。

それが私の名前。


なんで男の子…蓮川くんが知ってるんだろ…。


それに私が3年だってことも。


この学校には外見で学年を見分ける物が何ひとつないのに。