「梓、何やってんの?」


練習試合の日。


奏太くんに誘われたあの日から結局会えないまま、今日を迎えた。


「お弁当!晴の分も後で持っていくね!」


張りきってお弁当を作ってしまうくらい、私は今日を楽しみにしていた。



やっと奏太くんと話せるんだもん。


もっと奏太くんのことを知りたいって思ったのに、知るどころか会えなくって。



私が思ってる以上に、私の中で奏太くんの存在は大きいみたい。



「なんでそんなに張りきってんの?」


晴がため息をつく。


「え、だってやっと会えるんだもん。」


「だれに?」


「かな•••って、何きいてるのよ!」


お弁当を作りながらしゃべっていた私は、気づいたら口走ってしまっていた。


恥ずかしい•••


「へぇー。楽しみ増えたわ。」


ニヤニヤしながら言う晴。


弟にバレちゃうなんて•••!

しかも、同じ学校、同じ部活の弟に!


私、バカすぎるー!


「じゃ、先行くから。頑張れ、梓。」


はぁ•••

まぁ、仕方ないかぁ。


早くお弁当作って奏太くんに会いに行こう!


私は気を取り直して、お弁当作りに励んだ。