ぽっちゃり恋物語+。

「あ、いきなりごめんなさい…」


「手出してください!」


俺は申し訳なさそうにする梓センパイにそう言い、差し出された手にさっきの桜の花びらを置く。


この話を梓センパイが信じてくれるのなら俺も信じる。


俺は好きな人の幸せを願いたい。


だから…梓センパイにいいことが起きてほしいんだ。


「頭でだけどその桜はセンパイが拾ったものですよ!

いいことあるといいですね!


俺、2年の蓮川奏太(はすかわかなた)って言います♪」



「あ、広野あ…「梓センパイでしょ?」


梓センパイは驚いている様子。


そりゃ、梓センパイは俺の名前知らないもんね。


「なんで名前知ってるか気になります?

また話す機会があったらその時に答えますよ!

ぶつかった上に、引き止めちゃってすいません。では!」


こう言えば、少しは俺のこと気にしてくれるかな?覚えてくれるかな?なんて思いながら、俺は梓センパイの腕をはなして走った。


梓センパイが「はなして」って言わないのをいいことにずっとつかんでいた俺。


教室につき自分の席に座ると、俺はその手を見ながら梓センパイとのやりとりを思い出していた。