「照れんなよー♪」


て…照れてない!


「そんな奏太に俺らの学年の話をしてやろう。」


佑センパイが話し出す。


「俺らの学年に男子とほとんど話さない背が低くてぽっちゃりした女の子がいるんだよ。

その女の子は女子と話すときの笑顔がかわいいって評判なんだ。

本人全く自覚なしだけど、だいたいの男はその女の子を知ってるくらいな。」


「梓センパイ…そんな人気なんだ…」


俺は無意識のうちにつぶやいていた。


「俺、広野さんのことだとは言ってないけど。」


クスクスと笑いながら言う佑センパイ。


…あ。


「まぁ、あたりだけど…奏太おもしろいな!がんばれよ~!」


佑センパイは俺をからかい、どこかへ行った。




梓センパイのことを好きと自覚したのはこの後。


梓センパイを見かけるたびにうれしくて、噂の笑顔を見てドキドキした。



しゃべることも、俺の名前を知ってもらうこともできずに、ただ時間は経つばかり。


ただ俺の存在を知ってもらうだけでよかった。


だから…今日、俺はある作戦を実行したんだ。