結局、文化祭で俺が男だと気づいたのはこの人だけだった。


もう一度会いたい。


男が苦手だから、次会ったときはしゃべってくれないかもしれない。


でも、なぜか会いたくて仕方がなかった。


それほどあなたの存在は俺の心の大部分を占めていた。



本当はこの時から好きになってたんだと思う。

気づいたのは、高校に入学してからだった。

中学と高校の交流は文化祭しかない。


だから、中3の文化祭以来見かけることはなかった。


もちろん名前も知ることができなくて。


「梓!おはよ!」

「おはよ、みなみ!」


高校の制服に慣れてきた頃、俺は聞き覚えのある声と名前に反応した。


この声…あの時の。

『みなみ』は俺をかわいいと言っていた友達と同じ名前。


もしかして…

俺は声がするほうを見た。