「かわいいねー!」


「そこのかわいいメイドさん!ミルクティーちょうだい!」


言われたくない言葉を連呼する客。

意外にも大盛況な俺のクラス。

その言葉は入れ替わる客が当たり前のように言う。


文化祭の売上は自分らのものだから、「男だよ」とか「うるせぇ」とか売上に響きそうなことは言えない。


若干のいらだちを抑えながら笑顔で接客する。



「オレンジジュース2つになります。」


俺はジュースを持っていった。


その席には高校の制服を着ている女子2人組がいた。


「かわいいね!メイド服似合ってる♪」


「あ…ありがとうございます。」

なんでお礼なんて言わなきゃいけないかなーと思いながらも頭を少し下げる。


「みなみ、かわいいなんて言ったらダメだよ。」


もう1人がジュースを飲んでから言った。