その時、障子の向うから父さんがお婆ちゃんに、


『母さん、母さんが火をつけた事、僕知っていたんだよ。


あの頃の母さん、とっても辛そうで、見ていて僕まで辛かった。


しかしまだ若かった僕には何も出来なくて、本当にごめん。』


『わしこそすまんかった!


馬鹿な事をしてしまった。


お前の父さんを殺してしまい、お前にまでとんでもないものを背負わせてしまった。


許してくれ.......。』


『もういいんだ!忘れよう!』


『おとうちゃん・・・・・・・ごめんね!


もう少しまじめに成るね。


家にいなかったのは、小さい時から余り一緒に過ごしてなかったから、どうしても話し難くって、照れくさくって、いずらくって、でも、私って一杯の愛を貰ってたんだね。


夢と言う名前も最初は嫌だったけど、今はとっても気に入っているんだよ。


だって、私の夢はおとうちゃんやおかあちゃんみたいな、素敵な家族を持つ事だから!』


と言い、少し照れる。


それから数年後、大学を卒業した夢は父の部下の消防隊員と結婚をして幸せな家庭を持った。





(完)