ひとりぼっちの君へ

この高校に入ったばかりのときは、部活だってやろうって思っていた。
だけど何も興味が持てなくて、気づけば帰宅部。

週に何度かファーストフード店のバイトに出て、家に帰ってテレビを見て、また学校へ向かう。そんな日々に飽きるのはすぐだった。

だけど楽しいことなんて、特にない。


グラウンドでサッカーの練習をする西村を横目に、俺は家への道を歩いた。
このまま家に帰ってもなにもないし、適当にビデオレンタル店に寄って、いつものコンビニに入る。

いつものようにやる気のない店員に出迎えられ、俺は雑誌コーナーへと向かった。
ファッション誌を手に取ると男の俺から見てもカッコイイと思えるモデルが綺麗な笑顔を見せていた。あぁ、この差はなんなんだろう。


「いらっしゃいませー」

もう一度、店員の声がして何気なく入り口を振り返る。


「あ、」
「え、」


思わずでた声は思ったより店内に響いてしまって、俺は口を閉じる。
だけどそんな俺の声に振り返った彼女の瞳は、ぱちりと合った。

気まずい。


「こんにちは」
「…こんにちは」


少し戸惑った様に、だけども彼女は「この前はありがとうございました」と、にっこりと、俺に微笑んだ。


相変わらず小さいこの女の子は、相変わらず可愛い。


俺は迷ったけど、持っていた雑誌をそのまま棚に戻すと、彼女に続けて話しかける


「この辺、近いんですか?家が」
「いえ…職場が」
「職場?」


どちらからともなく少しずつ、近づく距離。
目の前に来た彼女の顔が随分と下にあって、俺との身長差を改めて感じた。


「そこの、本屋で働いてるんです。」
「え、あ、そうなんですか。」

コンビニの外を指す彼女の指の先を追えば、小さな本屋が見えた。
俺達がよく行く大型の本屋ではなく、本当に小説とか専門書とか、そんな感じの本しか置いていないような、小さな古い本屋。

あんな所に本屋なんてあったんだっていうのが俺の本音だった。