ひとりぼっちの君へ

「え、なに、小学生?」
「違うよ、たぶん俺らと同じ歳ぐらい」
「小さっ」


レジに向かった彼女は店員と少し親しげに話をして、買い物袋を受け取る。
出口のドアをくぐる一歩手前。振り返った彼女とぱちっと目が合った。

やべ。見すぎたか、俺。


ぱっと瞳を逸らそうとした瞬間、目線の先の彼女はにっこりと微笑む。
その笑顔に固まってしまい、俺はどう反応する事も出来ず、頭を小さく下げるのが精一杯だった。


か、可愛い。


「松本?」


隣に居る西村が俺の顔の前で手をひらひらとさせる。


「何見とれてんだよ。」


西村はにやにやした表情で俺を覗き込んだ。


「みっ…とれてねぇよ!」
「またまたぁ、そっか、松本はああいうのが好みなんだな。」
「ちがっ」


違わ、ないよな。
突然、だけど自然に俺の中に入り込んできた彼女は、今まで出会ったどんな女の子よりも可愛いと思った。


「だって…可愛くなかった?」
「まぁ、いや、若菜ちゃんの方が可愛いね」
「言ってろ」


デートが楽しみだ、と顔を緩ませる松本に150円のチョコレートを俺は押し付ける。
予算オーバーだとかなんだか騒いでたけど、50円ぐらいまけろって言うんだ。


俺は彼女の影を追って、ふと、店の外に目線を向けた。
だけどそこには、すっかり日の暮れた町並みが並んでいるだけだった


いつかもう一度、会えるだろうか。